「量子」 は、打楽器、電子音響、そしてセラモフォン(陶器製の楽器)のために作曲された、ソロ・オーディオビジュアル・パフォーマンス です。
2025年、この楽章は、仮想現実(VR)を組み込んだ拡張版 へと進化します。
「量子」は、物質の根源的な振動といった無限に小さな世界に迫ります。
相対性理論に続き、量子物理学は、私たちの宇宙理解を根本から変革する次なる科学的ブレイクスルーです。
この楽章は、量子物理学の基本原理を、音と映像を通じて探求する作品 であり、ライブパフォーマンス、電子音響、新技術を融合させた、物質の素粒子レベルでの振動を旅する 体験となります。

楽譜について
楽譜は共鳴の原理を反映しています。量子論によれば、物質の最小単位は、物質であると同時にエネルギーでもあり、共鳴によって支配される波の性質を持つ とされています。
このパフォーマンスは、物質と波動が共存する量子の世界 を描き出します。演奏は3つの楽章 によって展開されます。
物質は素粒子で構成されており、弦理論によれば、それらは振動する弦によって成り立っています。
目に見えるのは物質のみですが、量子物理学は、反物質や反粒子の存在も示しています。物質と反物質は宇宙の対極的な二面性であり、光の側面と闇の側面を象徴します。
ヤングの二重スリット実験の楽章では、粒子が波として振る舞う様子を示し、単一の粒子が同時に二つのスリットを通過できるという、私たちの古典的な現実観を覆すような現象を表現します。

新しい楽器、セラモフォン
セラモフォン(Ceramophone)は、日本のアーティスト黒川 徹が「Quantum(量子)」のために特別に制作した、陶器の彫刻楽器です。これは、パジェと黒川による物質と音に関する長年にわたる研究の結晶といえます。

セラモフォンは 3つの打楽器部位 に分かれています。
– 本体:弦理論の視覚要素にインスパイアされた彫刻 をマレットで演奏
– プレート:大型の円盤状の陶器(シンバルに似た形状)を弓で演奏
– ボウ・トランペット: 平たいトランペットのベル のような形状の彫刻を弓で演奏


これらの彫刻は、作品に求められる音域と共鳴を生み出すために、慎重に設計・選定されています。
また、伝統的な打楽器((ビブラフォン、タム、シンバルなど))の音色がセラモフォンを補完し、演奏の豊かさを増します。



QUANTUM 2.0
2025年、N’SO KYOTO は最先端技術を導入します。
音に反応する映像制作
映像作家サガール・パテルが、黒川 徹の彫刻を3Dモデリングし、音の変調に応じて変化する映像作品を制作することで、観客は物質の形成、崩壊、再構築という旅に引き込まれます。


AR(拡張現実)との融合 – ライブコンサート史上初の試み
ヤニック・パジェが、物理楽器とAR楽器を同時に演奏し、物質と非物質の境界を曖昧にします。このハイブリッド演奏は、物質と反物質の概念を想起させ、観客は仮想楽器の投影を目の当たりにすることになります。この技術は、世界で初めての試みとして披露されます。

音響空間の拡張
12台のスピーカーが観客を取り囲み、没入型の半球状の音響空間を創り出し、これにより、会場の物理的な広さを超えた特殊な音響環境が生まれます。複製音、反響効果、エコーを、空間内のどこへでも配置でき、まるで素粒子のように、音が空間内で相互作用し、移動し、変容します。「量子」は、最先端の技術と芸術を融合し、量子物理学の核心を音と映像で体験する、これまでにないパフォーマンスです。
