III. Dual Resonance

III. Dual Resonance

「二重共鳴」は、アレクサンドル・モベールの指揮による映像と、前田英一の振付によるダンスを特徴とする、音と映像のインスタレーション。観客は、向かい合う2枚のスクリーンの間に着席し、12台のスピーカーによる空間音響とともに、没入型のオーディオビジュアル体験を味わいます。

この楽章は、「二重共鳴モデル」という概念を探求します。これは、弦理論の発展につながった現象であり、粒子加速器において、二つの粒子の相互作用が、二つの異なる結果を同時に生み出すことを示しています。

この現象は、パラドックスなのか? 観点の問題なのか? それとも、一つの出来事の中に複数の現実が共存している証拠なのか?

この二重性は、物質の根源的な相互作用に対する我々の理解や、知覚・現実の本質について疑問を投げかけます。

作曲と構造

2枚のスクリーンには、同期したダンスの動きが映し出されます。しかし、観客は同時に両方の映像を見ることができず、視線を交互に移動させるしかありません。

鑑賞の終盤に至ると、二つの映像は観客の意識の中で統合され、第3のスクリーンが生まれます。これは、弦理論の視覚的表現として機能するものです。

この楽章では、チャン・パトン因子が最小単位である1ヘルツの間隔で適用されます。3つの同一音から成る和音がわずかにずらされ、リズムの脈動を生み出し、楽曲の基盤となるのです。

音楽は事前に録音され、半球状の音響空間内で設計されています。各音は、空間内の位置によって異なる意味を持っています。スクリーンと同様に、音響空間にも二重の視点が組み込まれており、共存する現実というテーマを強調します。

ドルビー・アトモス(Dolby Atmos)でエンコードされた最終的なサウンドデザインは、高さ方向の変化を取り入れることで、360度の聴覚体験を実現しています。この多次元的な音響環境により、観客はより深く音楽の世界に没入することができるのです。

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